注)長文注意
1月29日(金)〜1月31日(日)までの二泊三日、谷川岳の
土合山の家で、日本山岳協会主催の山岳レスキュー講習会
(積雪期)に参加してきました。
数年前に独法化された文科省登山研修所が、日山協に依頼して
行っているものです。
雪崩事故発生から、遭難者の発見、搬出までのレスキュー技術の実技から、
雪崩の発生、低体温症などの座学まで、3日間フルに使っての、講習会で、
大変、実践的かつ、非常に充実した内容でした。
土合山の家の写真

こんなに集まった

低体温症の講義
雪崩事故での死亡原因は、窒息が65%、障害物への激突が25%、
そして、低体温症が10%だそうです。
激突以外は、事故発生から時間が経過するほどに、生存率が下がり、
雪崩で埋没した場合、15分以内に掘り出せるかどうかが、
生死を分け、それ以降になると、生存率がぐっと下がります。
そのためには、迅速に遭難者を捜し出し、掘り出すことが必要です。
低体温症では、人間は内蔵(コア)を守るために、末端や不要なところの
機能を止めます。
体温が下がると、脳の機能も低下し、ブレーカーが落ちるように意識を喪失することも
あります。
保温と加温は違い、救出したあと、ストーブやお湯などで、
急激に暖めると、循環を止めていた末端の冷たい血流がコアに戻って、
心不全を起こすこともあり、加温はせずに保温に努めて、
医者の元へ搬送することが大事です。
雪崩の3種の神器
雪崩ビーコン
プローブ(ゾンデ棒)
スコップ
雪崩ビーコン
山には入るときには送信モードにして、捜索するときは、
受信モードにして、遭難者を捜索するトランシーバー。
ビーコンも以前に比べると、性能もだんだん良くなってきていますが、
ビーコンで捜索するときの特性を良くつかんで、練習しておくことが
大事です。
旧式の順にアンテナが1本のシングル、2本のデュアル、3本のトリプルが
あって、以前はアナログの物も多かったですが、今販売されているのは、
ほとんどが、デジタルの物です。
シングルでは距離は出ず、デュアルではアンテナ2本の差で距離を出す。
トリプルでは縦のアンテナもあって、深さも出します。
また、受信感度の距離は機種によって、だいぶ違いますね。
受信は遭難者からの距離が25m〜100mくらいまであります。
ちなみにシングルが一番、受信距離はあります。
また、埋没者は、1.5m〜2mくらいのところに埋まっていることが
多いので、埋没者の真上に来ても、2mくらいはあるわけで、
ビーコンだけではピンポイントには探せません。
クロスサーチ法で、ある程度、ビーコンであたりをつけたら、
ビーコンの役割は、終わり、ゾンデ棒で探します。
プローブ(ゾンデ棒)
テントのポールのような折りたたみ式で、のばすと3mくらいになります。
これを雪面にさして、埋没者を探すのですが、闇雲に刺しても、
見つかりません。
この写真のように、ゾンデを持って、列に並び、
ゾンデの網の目をかけるように、左右に刺して、一歩前に出て、
また同じように刺します。
この間隔でゾンデ棒

並んでゾンデ棒

埋没者に当たったら、そのゾンデは抜かないでそのままにしておきます。
スコップ
発見したら、掘り出していきますが、2mほどの穴を掘っていくのにも、
技術がいります。
その場所だけを掘ろうとしても、2mの深さの穴は掘れる物では
ありません。
また、掘り出したあと、雪面に出すスペースも作らなくてはなりません。
V字コンベアベルト法というやり方で、隊列を組み、先頭を交代しながら、
深さの2倍のところから、スロープ上に、埋没者の地点まで掘っていきます。
これは、かなりの重労働。
V字コンベアベルトの写真

そしてここが大事ですが、雪崩事故発生から、この掘り出すところまでを
最大15分以内に行わなくてはいけないのです。
掘り出したあと、まずやらなくてはならないのは、怪我の部位の確認と
保温です。
負傷者の梱包
まず、ツエルトを広げます。
冷たさは下から来るので、ザック、マットなどを敷き、負傷者を乗せます。
手は束ねてしばり、頭には枕のようなもの、膝の下にもつめものを
します。
カラビナとシュリンゲを使って、シートベントで縛っていきます。
顔のところの空気孔以外は、全身をツエルトでくるんで縛ります。
先端には、ロープが出ています。
支点の作成
搬送中に、斜面を引き上げたり、つり下げたりするときには、
支点を作らなくてはなりません。
スノーバーや、ピッケルを雪面に刺して、支点を作りますが、
その際、踏み固めることによって、雪面の強度が増します。
そのほか、木の枝を束ねたり、土嚢袋に雪を詰めた物を
雪に埋めることによっても、支点を作ることが出来ます。
搬送
引き上げるときには、2分の1、3分の1システムなどを作り、
動滑車の要領で、引き上げる力を軽減します。
しかし、それを作るのに、時間がかかるので、場合によっては、
もっとシンプルにした方が、良い場合もあります。
状況に応じて、臨機応変にすることが重要です。
滑車システム

そのほか、搬送できない場合に、保温をするために、迅速に
雪のシェルターを作る方法なども学びました。
雪洞が出来ないような積雪の少ないところでも、シェルターを
作ることが出来ます。
その他、もろもろ、たくさんのことを学びましたが、いざ、遭難現場に
いたときに、的確に行動できるようになるためには、
普段からの意識と、練習が不可欠です。
また、ロープワークなどは机上でも出来るので、普段から練習しておく
必要があるなと思いました。
ちょっと、長文になりましたが、3日間で盛りだくさんの内容でした。
このような講習会には、これからも積極的に参加し、
最新の技術を学んでおきたいと思います。
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